AIで作った文章や画像を自社サイトに載せても著作権は大丈夫?公開前に確認すること
公開日:2026-11-05/AnchorUp コラム
AIで作った文章や画像を自社サイトに載せること自体が、著作権の問題になるわけではありません。問題になるのは、載せるものが既存の作品に似ていて、それを元にしたと言える場合です。 これは人が作った場合と同じ考え方です。

つまり「AIで作ったから安全」とも「AIで作ったから危険」とも言えません。公開前に、似た作品がないかと、使ったサービスの規約を確かめる必要があります。
この記事は一般的な情報の整理です。個別の事案で問題があるかどうかの判断は、弁護士などの専門家に確認してください。
AIで作ったものを載せると著作権侵害になるのか?
既存の著作物との「類似性」と「依拠性」の両方が認められる時に、著作権侵害になると考えられています。 文化審議会の小委員会で事務局が説明した素案では、「類似性と依拠性の両者が認められる際に著作権侵害になる」とされ、AI生成物の類似性については「原則として、人間がAIを使わずに創作したものと同様に考えられる」と説明されています。
2つの言葉の意味は次のとおりです。
| 言葉 | 意味 |
|---|---|
| 類似性 | 既存の作品と、表現が似ていること |
| 依拠性 | 既存の作品を元にして作ったこと |
依拠性は、AIを使った時に判断が難しくなる部分です。使う人が知らない作品に似たものが出てくることがあるためです。文化審議会の小委員会が2024年3月に取りまとめた「AIと著作権に関する考え方について」は、次のように整理しています。
| 状況 | 考え方の説明 |
|---|---|
| 使う人が既存の作品を知っていた | AIを使っても依拠性が認められ、その創作的表現を持つものを生成させれば侵害が成立すると考えられる |
| 使う人は知らず、AIの学習にも使われていなかった | 似ていても偶然の一致にすぎず、依拠性は認められず、侵害は成立しないと考えられる |
| 使う人は知らないが、AIの学習に使われていた | 通常、依拠性があったと推認され、利用者の侵害になり得ると考えられる |
3行目は、知らなくても問題になり得る場面です。学習に使われた作品の表現が出力されないことが技術的に担保されているといった事情を利用者が主張できれば、依拠性がないと判断される場合もあるとされています。ただ、AIの学習に何が使われたかを利用者が調べることは難しいので、出来上がったものが何かに似ていないかを公開前に見ておく意味があります。
ここで押さえておきたい前提が2つあります。
- 文化庁は、考え方を取りまとめた当時について「判例及び裁判例の蓄積がないという現状」と説明しています。考え方は法律そのものではなく、最終的な判断は裁判所が行います。
- 上の表は、文化庁のページに掲載された2024年3月15日の最終版をもとにしています。
社内で試すのと、サイトに載せるのでは何が違うのか?
生成した時と、公開して使う時は、別々に考えます。 最終版は、「生成時の複製については権利制限規定の範囲内であったとしても、生成物の譲渡や公衆送信といった利用時には、権利制限規定の範囲を超える行為として、著作権侵害となる場合がある」としています。
権利制限規定とは、著作権者の許可がなくても使える場面を定めた決まりのことです。社内で案を比べるために生成するだけなら問題にならなかった場合でも、サイトに載せて広く見せる段階では、改めて確認が必要になることがあります。
AIの規約に「権利はあなたのもの」とあれば安全か?
安全とは言い切れません。 規約の「権利を渡す」という条項は、サービスの提供者と利用者の間の取り決めです。第三者の作品に似ていないことまで保証するものではありません。
Anthropic の個人向け規約を例に見てみます。
- 出力については「we assign to you all of our right, title, and interest—if any—in Outputs」と書かれています。提供者が持つ権利があれば(if any)渡す、という内容です。
- 同じ規約には「Outputs may not always be accurate」とあり、出力が正確とは限らないことを利用者が認める形になっています。
法人向けの商用規約は別の文書で、「Customer (a) retains all rights to its Inputs, and (b) owns its Outputs」と定めています。第三者からの請求への対応を定めた条項もありますが、対象や条件は文書ごとに違います。
確認の順番は次のとおりです。
- 実際に使っているサービスとプランを特定する(個人向けか法人向けか)
- そのプランの規約で、出力の権利と商用利用の条件を読む
- 第三者から請求された時の扱いが書かれているかを読む
- 確認した日と規約の版を記録する(規約は変わるため)
ここで見た規約は1社の例です。他のサービスの内容は、それぞれの規約で確かめてください。
AIで作った文章や画像に、自社の著作権はあるのか?
自動的にあるとは言えません。 著作権法は、著作物を「思想又は感情を創作的に表現したもの」と定めています。最終版では、AIへの指示が「表現に至らないアイデアにとどまるような場合には、当該AI生成物に著作物性は認められない」と考えられるとされています。
どの程度関わると認められるかは、総合的に判断されるものと説明されています。最終版が挙げる要素は次のとおりです。
- 指示や入力の分量と内容。創作的表現を具体的に示す詳細な指示は評価されやすく、アイデアを示すだけの指示は長くても影響しません
- 生成の試行回数。回数が多いこと自体は影響しませんが、生成物を見て指示を修正しながら繰り返す場合は認められることがあります
- 複数の生成物からの選択。単に選ぶだけでは影響しません
人が創作的な加筆や修正をした部分は、通常、著作物性が認められます。ただし、それ以外の部分には影響しません。
実務で影響が出るのは、会社の顔になるものです。たとえばロゴやキャラクターをAIの出力のまま使うと、他社に似たものを使われた時に、自社の権利を主張しにくくなるおそれがあります。長く使うものほど、人が手を入れる範囲を増やす、デザイナーに仕上げを頼むといった判断が必要です。
公開前に何を確認すればいいのか?
入力したものと、出来上がったものの両方を確認します。 次の順に見てください。
- 入力に他人の作品を使っていないか。 検討の場では、既存の著作物をAIに入力して、創作的表現が共通したものを生成させた場合が、依拠性ありと考えられる例に挙げられました。
- 特定の作家や作品名を指示に入れていないか。 既存の作品を知って指示したことになるので、避けるのが無難です。
- 似たものがないか検索する。 画像は画像検索、文章は特徴的な一文を引用符付きで検索します。
- 文章の事実を確かめる。 数字、固有名詞、法令の名前は、元の情報で確認します。
- 作った時の記録を残す。 使ったサービス、指示の内容、生成物、確認した日を残しておくと、後から経緯を説明できます。
- 外部に頼んだものも同じように確認する。 制作会社の納品物にAIを使った部分があるか、どう確認したかを聞きます。
似たものが見つかった場合は、指示を変えて作り直すより、その案を使わない方が簡単です。
種類ごとの注意点も整理しておきます。
| 載せるもの | 特に見る点 |
|---|---|
| ブログの本文 | 他社の記事と文章が近くないか、事実が正しいか |
| 記事の挿絵 | 既存のイラストやキャラクターに似ていないか |
| ロゴ、サービス名 | 似たロゴがないか。名前は商標も確認する |
問題を指摘されたら何が起こるのか?
差止めや損害賠償を求められることがあります。 著作権情報センターの解説では、民事上の請求として「侵害行為の差止請求」と「損害賠償の請求」が挙げられています。刑事上の罰則も定められており、同じページでは法人による侵害について「3億円以下の罰金」と説明しています。
指摘を受ける前に、社内で次のことを決めておくと対応が早くなります。
- サイトの問い合わせを誰が受けるか
- 指摘が届いたら、その掲載物をいったん下げるか、誰が判断するか
- 相談する弁護士がいるか
実際に指摘が届いた場合に、侵害にあたるかどうかを社内だけで判断するのは難しいので、早めに弁護士へ相談してください。
まとめ
- AIで作ったものでも、既存の作品との類似性と依拠性で考えるのが基本です。
- サービスの規約で権利を渡されていても、第三者の権利の問題がなくなるわけではありません。
- AIの出力のままのものは、自社の著作物と認められない場合があります。
- 公開前に、入力、似たものの有無、事実を確かめ、記録を残します。
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